当店には不妊治療の患者様をはじめとして、
・子宮内膜症
・子宮筋腫
・月経不順、無月経
・更年期
・乳がん、子宮がん
など女性ホルモンに関わる疾患でお悩みの方がいらっしゃいます。

何かのご縁でご来店された方もいますが、
下調べはせずにご来店されることも多く、
漢方と鍼灸がなんとなく良いんだろうな、
と思っている方もご来店されます。

その時に、丁寧に説明することは、
漢方と鍼灸の治療の意義についてです。

全てのホルモン関連疾患の治療のベースに使える
と言っても良いくらい有効性が高いので、
その理由について今回はまとめてみました。

〜〜〜〜目次〜〜〜〜
1、ホルモン自身は一人歩きしない
2、”温める”という西洋薬には出せない自然のパワー
3、土壌改良をしないと何度でも再発する
4、ホルモン関連の疾患に使うベースとなる漢方薬
まとめ、全てのホルモン関連の疾患の治療のベースへ

1、ホルモン自身は一人歩きしない

皆さん、分泌されたホルモンの行末はご存知でしょうか。
ホルモンは一人歩きせずに、血の流れに乗って作用部位まで到達します。

よくホルモンの数値は正常なのに、無月経や不妊になる人がいます。
その要因の一つに血流の低下があります。
なぜならホルモンの分泌が正常であっても血流が悪くなりますと、
ホルモンが正しく機能しなくなり、各々の病気を引き起こします。

漢方や鍼灸ではこの血流を改善させるのにとても効果的です。

・鍼灸治療
全身の筋緊張を和らげて物理的な障害を抑えたり、
血管の運動を伸びやかにする事で、血液の流れを回復させます。
鍼灸治療は消化管を経由しない治療技術なので、
老若男女誰でも扱えることが薬よりも優れている点です。

・漢方治療
以下の生薬が持つ”補血活血”という作用を利用して血流や血液量を調整します。
”補血活血”作用は貧血の人でも、血液量が多い月経過多の人でも絶妙なバランスで
血液の量を調節してくれる作用を持ちます。
血液の状態を程よいバランスで保つ事は、自然の生薬にしかできない利点になります。

*補血活血作用を持つ生薬の例:当帰(とうき)、赤芍(せきしゃく)、川芎(せんきゅう)

2、”温める”という西洋薬には出せない自然のパワー

西洋薬には体を内部から温めていくという考え方はありません。
西洋薬は体の内部から冷やすので、飲めば飲むほど体温が下がっていきます。
それを食い止める役割を漢方や鍼灸の治療が担ってくれます。

・鍼灸治療
鍼灸の温熱治療のメインはお灸の治療です。
これは一見外部から温めているように見えますが、お灸は身体の内部から温めています。
ここでは長くなるのであまり詳しく説明はしませんが、
お灸の熱刺激は身体の奥深くへ到達させることで各々の効果を示しています。

・漢方治療
下記のような生薬には温煦作用(おんくさよう) という体の内部から温める作用があります。
”温める”と”あえて冷やす”という作用は自然の生薬にしかできない技術です。
熱を加えたり、減らしたりする技術は間違えると病状を悪化させる事もあるため、
治療者としては最も慎重に、かつ正確に行うべきポイントになります。

*温煦作用を持つ生薬の例:乾姜(かんきょう)、附子(ぶし)、山椒(さんしょう)

3、土壌改良をしないと何度でも再発する

子宮筋腫の切除のための外科的手術を3度受けた、という女性に出会った経験があります。
子宮筋腫を取り除いても再発してしまうため、最後は手術を諦めてしまったそうです。
その女性は今も子宮筋腫を持ちながら元気に生活してますが、
定期的に漢方と鍼灸の治療をして筋腫が肥大しないよう取り組んでいるそうです。

さて、なぜ子宮筋腫は3度も再発したのでしょうか。

答えは、筋腫を生み出しやすい土壌=体質だからです。
土壌改良=体質改善を図らないと、除去しても何度でも子宮筋腫は再発します。
この体質改善には、東洋医学の技術だけでなく知識がとても大切になってきます

その知識に関しては、長くなるので詳細はここではお伝えできませんが、
生まれ持った体質の改善ではなく、崩れてしまった体質を元に戻すだけなので、
再現性は高く、誰にでもできることですので難しい話ではありません。

体質改善に一番大切なのは正しい東洋医学の知識です。

その上で、漢方や鍼灸治療は体質改善のサポートを担ってくれます。

・鍼灸治療
全身の筋緊張を解いて、血管運動やリンパ管の運動を高めます。
その高まった血管やリンパ管により、新しい血液やリンパ液の循環が早くなり、
老廃物の蓄積した血液やリンパ液は、自然と除去されていきます。
また、血管の運動性が高まり各臓器に栄養を運んでいきます。

・漢方治療
生薬の中には、血液やリンパ液に溜まり溜まった老廃物を浄化させる作用を
持つ生薬がいくつかあります。以下の生薬がその生薬に該当します。
下痢を伴うことが多いので、運用には注意を払う必要があります。

*浄化能力の高い生薬:桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)、紅花(こうか)

 

 

4、ホルモン関連の疾患に使うベースとなる漢方薬

漢方処方は症状に応じて生薬を追加したり、
漢方薬を2〜3種類混ぜ合わせて服用するのが通常です。
今回ご紹介する漢方薬はベースとなる漢方薬です。
是非治療のご参考にしてください。

A)芎帰調血飲第一加減 (きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
B)通導散(つうどうさん)
C)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

お勧めの漢方メーカー・小太郎漢方さんの商品を撮影。

A)芎帰調血飲第一加減 (きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

エキス剤でも効果的な漢方薬で、強烈な血液浄化能力を持っている漢方薬です。
体を温める生薬(当帰、乾姜など)を中心に、活血・補血の生薬、浄化能力の高い生薬が全て揃っています。
この漢方薬は温める作用があるので、冷え性の方が多いホルモン関連の疾患は効果的なケースが多々あります。
あくまでもベースとして使う漢方薬ですので、他の薬と混ぜて使うようにしましょう。

使用ポイント:冷え症の方

B)通導散(つうどうさん)

ホルモン関連の疾患では稀に熱が原因の方います。
大黄(ダイオウ)や芒硝(ぼうしょう)といった身体を冷やす生薬が混ざっています。
この大黄(ダイオウ)や芒硝(ぼうしょう)により下痢を伴うことがあります。
煎じ薬の場合、下痢の具合によって大黄(ダイオウ)や芒硝(ぼうしょう)の量を調節でます、
しかし、エキス製剤の場合は既製品のため、これらの生薬の調節ができず下痢になるので、
適切な容量を投与できなくなり、思った通りの効果は出しにくいです。
治療へ費やすお金に余裕のある方は煎じ薬をお勧めします。

使用ポイント:熱性、下痢に注意

粉々にした生薬を蜂蜜で丸めた丸剤

C)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝(けいし)がメインの漢方薬です。
桂枝(けいし)の使用ポイントは『冷えのぼせ』です。
手足は冷えているのに、頭はのぼせてしまっているので”熱が偏在”しています。
冷やす事と温める事が同時に必要なケースに桂枝(けいし)を使用します。

桂枝茯苓丸はA)やB)ほど強力な効果を示す生薬は含まれていますんが、
すごくシンプルな漢方薬でベースの薬としてはとても効果的です。
処方箋医薬品でも扱いありますが、エキス製剤の場合は風味が落ちてしまって
効果が弱いので、市販の丸剤を使って治療するのがとても効果的です。

使用ポイント:冷えのぼせ、丸剤で調節しやすく長期服用可能

まとめ、全てのホルモン関連の疾患の治療のベースへ

全てのホルモン関連の疾患の治療のベース
と言っても良い有効な理由は、

1、ホルモンの機能を最大限引き出すために血流を改善する。
2、”温める”という西洋薬には出せない東洋医学のパワーがある。
3、体質改善のための必要な知識が東洋医学にはたくさん詰まっている。

の3つが理由になります。

最後に当鍼灸院では、
一人一人の状態に合わせて完全オーダーメイドで漢方+鍼灸の治療を提供しています。
一人一人千差万別で、人の数だけ治療方法が異なるので、
その都度やり方が変わり、とても手間のかかる作業です。
ですが、そのてまを惜しまず日々仕事させていただいてます。
どんな疾患でも対応しておりますので、気軽にお問い合わせください。