不妊の原因となる子宮内膜症。
当店にもこの病気で悩まれている方はよくご来店されます。

病院の治療では、ピルやホルモン剤(GnRHアゴニスト)が処方されます。
これらの薬は、子宮内膜症で起こる辛い痛みにより日常生活に支障をきたすため、
その症状を軽減し、これ以上病気を進行させないために処方されます。

しかし、妊娠を考えている方はこれらの薬が原因でホルモン分泌を止めてしまいます。
これが習慣化してしまうと、妊娠や出産ができない可能性が出てきます。
また、ホルモン剤は発癌性など副作用を招く事もあるので、長期の使用は避けたい薬の一つです。

では、子宮内膜症に悩む女性をどのようにサポートしたら良いのでしょうか。
こんな時にご提案したいのが漢方薬です。
今回は子宮内膜症に対しての漢方治療に的を絞って記事をまとめてみました。

子宮内膜症やチョコレート嚢胞などの診断を受けたが、
・ホルモン剤などの西洋薬の治療はどうしようかな・・・
・漢方薬のような副作用の薬はないのかな・・・
・痛みが辛いから手術を受けようかな・・・
・でも妊娠や出産はしたいな・・・
と悩んでいる方は是非最後まで記事をご覧ください。

また、子宮内膜症のようにホルモン関連の疾患でお悩みの方は、
↓下記の記事を読んでから今回の記事をお読みなるとより理解が深まります。

【女性必見】ホルモン関連疾患に対する漢方と鍼灸の治療の意義

〜〜〜〜目次〜〜〜〜〜

1、子宮内膜症に漢方薬を使用するメリットとデメリット
2、病院で処方される漢方薬では事足り無い理由
3、子宮内膜症の原因は何か?
4、子宮内膜症のベース薬としておすすめの漢方薬
5、各々の症状に応じて考慮する漢方薬、健康食品
A)痛みが強い時に追加したら良い漢方
B)各臓器との癒着を改善するための漢方
C)冷え性が強い時に追加すると良い漢方
6、まとめ

1、子宮内膜症に漢方薬を使用するメリットとデメリット

どんな治療方法にも一長一短がありますが、
漢方薬は、体に負担をかけることがほとんどありません。

強いて問題点を挙げるとすれば、治療家の技術的な問題と患者様の金銭面があります。
それをクリアできると、漢方薬で子宮内膜症の寛解までは導いてくてますし、
子宮内膜症の治療自体が不妊の治療までカバーできてしまいます。

産科と婦人科が同時に治療できるので、一石二鳥につながります。

【メリット】

①ピルやホルモン剤のような副作用なく身体的リスクはほぼゼロ
→更年期症状や骨量の減少、不妊、癌などのホルモン剤のような重度の副作用はない。
②妊娠を希望される方でも問題なく服用可能
③子宮内膜症の治療と同時に、妊娠しやすいカラダへと導いてくれる
④痛みを止めとしての効能も優れていています。
→ロキソニンなど鎮痛剤以上の効果を発揮する事が多々あり

【デメリット】
①自費診療のためコストがかかる
②治療家の技術が問われることが多い
→正確に見極めと漢方薬を的確に選択が必要です

2、病院で処方される漢方薬では事足り無い理由

煎じ薬を扱っている大学病院やクリニックでは子宮内膜症への漢方治療は対応可能です。

しかし、ツムラやクラシエなどの漢方メーカーのエキス顆粒しか扱えない
病院やクリニックでは、子宮内膜症へは太刀打ちできないケースが多々あります。
その理由についてまとめてみました。

①健康保険で扱える漢方薬は130種類前後しかない
②約130種類しかないので3〜4種類以上の漢方薬を組み合わせないと効果が出せない
③現行の皆保険のルールでは4種類以上の漢方薬は同時に処方できない
④健康保険として扱えない生薬が子宮内膜症に有効なケースが多々あり
⑤組み合わせた結果、保険診療の方がコスト高なるケースが多々あり
⑥エキス製剤には効果に限界がある

以上6点が理由になります。
漢方薬を専門に扱っているクリニックや薬局に出向くのが、
結果的に迅速かつ安く収まるケースが多いのが実態です。

3、子宮内膜症の原因は何か?

学術的には、子宮内膜症は原因不明となっています。
ですが、臨床的にも文献的にも”老廃物の蓄積”
と言ってほぼ間違えないと考えています。

その理由が、

1)血液の浄化能力の高い生薬を与えていくと痛みが軽減していくこと
2)毒素(小麦、砂糖、油を中心に)の摂取を控えると痛みが取れていくこと

という女性をたくさん見てきたからです。

もちろん正しい生活習慣の改善と正しい食事を身につけていく事が大切です。
誰でもできることをコツコツ続けた人は普通の生活に戻れ、
笑顔が溢れて楽しい人生になっていきます。

そんな姿を見た時は当店スタッフもホッとします。
この記事を読んでくれた人の中で元気の状態へ戻れる人が、
一人でも増えてくれることを心より願っています。

4、子宮内膜症のベースの薬としておすすめ:折衝飲(せっしょういん)

子宮内膜症の治療で最もバランスが良い漢方薬は『折衝飲(せっしょういん)』です。
延胡索や牛膝といった鎮痛効果のある生薬を含んでいる漢方薬は数少ないです。
それに加えて、当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・芍薬(しゃくやく)
によって血流改善や血液量の調節、血液の質の改善を図り、
同時に桃仁(とうにん)・牡丹皮(ぼたんぴ)によって汚れた血液の浄化をサポートします。

子宮内膜症における強い月経痛に対しても
子宮内膜症における老廃物の蓄積の処理に対しても
老廃物の処理に関わった『血』の調整に対しても
どこをみても理にかなった生薬構成になっている漢方薬です。
実際の臨床においても子宮内膜症によく著効します。

4、各々の症状に応じて考慮する漢方薬、健康食品

『山本巌の漢方医学と構造主義 病名漢方治療の実際(著 坂東正造)』
を参考にして、わたしなりの経験した内容をまとめておきました。
もちろん唯一無二の絶対的な答えではないですので、
自分に合っている漢方を詳しく知りたい方は是非一度ご来店ください。

A)痛みが強い時に追加したら良い漢方:『五浄心(ごじょうしん)』

痛みが強い時は田七人参の追加がおすすめです。
田七人参は止血と止痛の効果がとても強い生薬です。
ただ質の良い田七人参ではないと効果が出ないので、その見分けが大変です。
特に子宮内膜症に使用して効果的だった田七人参製剤は『五浄心』です。
血液を浄化する生薬(水姪、紅花など)が『五浄心』には含まれています。
痛みを止めると同時に、子宮内膜を作る老廃物の浄化機能を高めてくれます。
メリットは副作用が少なく効果が高いこと、小さな錠剤なので飲みやすいことです。

B)各臓器との癒着を改善するための漢方:『亀鹿霊仙廣(きろくれいせんこう)』

子宮内膜は本来子宮の内側にある組織ですが、卵巣、卵管、腹膜、膀胱など
の別の臓器で発生・発育した状態を子宮内膜症と呼びます。
この膜組織と各臓器との癒着が日を経つごとに酷くなるので、それを防止する必要があります。

『亀鹿霊仙廣(きろくれいせんこう)』は、
亀の甲羅に部分から作られた生薬の『亀板(きばん)』が含まれています。
『亀板(きばん)』は軟堅薬(なんけんやく)として、堅いものほぐす作用を持っていますので、
硬くなった子宮内膜を柔らかくしていき、癒着を和らげるサポートしてくる逸品です。

C)冷え性が強い時に追加すると良い漢方
『芎帰調血飲第一加減 (きゅうきちょうけついんだいいちかげん)』

冷え性が強い場合は、芎帰調血飲第一加減 (きゅうきちょうけついんだいいちかげん)を追加します。
当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)といった血行改善をして体を温める生薬が中心に入っています。
また、血液の浄化能力を高める牡丹皮(ぼたんぴ)、桃仁(とうにん)、
さらに痛みを抑える延胡索(えんごさく)、牛車(ごしつ)、などの生薬も配合しているので
トータルして子宮内膜症には良い薬です。

 

5、まとめ

子宮内膜症によく使う漢方薬は、
・折衝飲:子宮内膜症の治療のベースとなる漢方薬
・五浄心:痛みが強い時に使う漢方
・亀鹿霊仙廣:各臓器のとの癒着を改善するための漢方
・芎帰調血飲第一加減 :冷え性が強い時に飲むと良い漢方
の4つで、これらの薬を中心に治療を組み立てて行くことが多いです。
他にも色々治療の方法はありますが、
病気の進行度や治療コスト、ライフスタイルに応じて変わります。

また、子宮内膜症は東洋医学では「瘀血(おけつ)」
という病態に属していると考えることが一般的です。
この「瘀血(おけつ)」を取り除く治療には、適切な組み合わせが必要になり、
全身のバランスを考えて治療を行える専門的な知識も必要になります。
漢方薬を扱う技術・知識が必要ですので、お近くの専門家にご相談ください。