【解熱の症例】自然治癒力を引き出す技術と解熱剤のデメリット
https://yomogi-sk.jp/kenkosoudanshitsu/20240203/

今年1月に上記のような記事を書かせていただきました。
もし読んでいない方は、是非一度読んで見てください。

発熱時の対応は初期対応をとても重要でその初期対応を間違えると、こじらせるどころか死に直結する事もあります。
これは教育現場で起こるイジメとよく類似しているな、とつくづく感じます。
イジメの初期はただのふざけている程度から発展して大きなこじれを生み、最後は死に追いやることもあります。

したがって、今回はイジメを題材にして、発熱時の初期対応の一つである”発汗解表”という東洋医学の治療技術について簡単にご説明しようと思います。

現在、
・子育て奮闘中のママ・パパさん
・これから妊娠出産を迎えるご夫婦
・よく風邪を引く方や風邪の治りが遅くなる方
・虚弱体質の方
などでお困りの方や子供の安心安全を考えるパパママさんは是非最後までご覧ください。

〜〜〜〜〜目次〜〜〜〜

1)頭ごなしに叩いてもイジメはなくならない
2)いじめっ子の熱量を逃す場作りが大切
3)”発汗解表”という治療技術を応用した最も一般的な漢方薬=葛根湯
4)昔からご家庭でも扱われていた”発汗解表”という技術
5)「東洋思想」という哲学を社会に活かす

1)頭ごなしに叩いてもイジメはなくならない

皆さん、イジメを見つけたらどのように初期対処しますか。
答え一つではありませんが、初めて子育てする方は叱ってやめさせようとします。
でも、今の学校の教育現場では体罰だと指摘されたりするので簡単には叱れませんね。
中途半端な対応で怒ったり叱ってしまうと今度は子供達も知恵をつけてきて、先生の見えない所でイジメをするようになってきます。

皆さんが子どもの時を思い出してみてください。
親や先生にやるな、と言われる事ほど子供はやりたくなります。
好奇心旺盛な子供であれば子供であるほど怖いもの知らずにやります。
子どもとはそういうものであり、そういう失敗を繰り返しながら学んでいくものです。

これでは、イジメを早期発見し中途半端に叱って怒鳴ってもいじめはなくなりませんね。
陰に隠れてまたイジメを繰り返すので、イタチごっこになります。

実は僕らが体に襲いかかる感染症の発熱も同じなのです。

熱や痛みが出てくるとすぐにロキソニンやカロナールのような解熱剤を飲む方がいて、
医師や薬剤師の中にもすぐに解熱剤を勧めたがる専門家が多くいます。
ですが、この初期対応に行ってしまうと実は病気を長引かせ、ひどい場合は死に追いやります。

その理由は、イジメの問題と全く同じで、

早期に炎症の火種を叩いても結果的に別の場所で火種が大きくなっている

からです。

では、どのように対処を行えばいいのでしょうか。
これは、”熱を逃す”という技術がポイントになってきます。

2)いじめっ子の熱量を逃す場作りが大切

子供の熱量を受け止め、逃してあげる場が失われている現代の育児環境。
昔は親と一緒に暮らして2世代、3世代が同居して暮らしている家族がたくさんありました。
その時は、親の忙しい時は祖父母が子供達の面倒を見てくれてました。
また近くに自分の祖父母がいたので地域の関係が密になっていたと思います。
ですので、地域のおじいちゃん、おばあちゃんも子どもたちを見守ってくれてました。
自然とコミュニケーションが生まれることで、子ども達のフラストレーションが自然と消える仕組みはあったのではないでしょうか。
実はこの自然と子ども達の熱量を受け流す仕組みがとても大切だったと思います。

競争社会が激化して、親は共働きで核家族の現代。
忙しい仕事の合間でしか子供の対応が出来ないのは今も昔も変わりません。
ただ祖父母が居ないので、延長保育や放課後の学童保育などで子供のストレスが溜まります。
溜まった熱量の矛先は友達とのけんかやイジメへと発展していく引き金になりかねます。

この溜まった熱量を上手に受け流していければ、いじめ等への大きな発展していかないのでは?
と思った方もいますが、実はこの対応そのものが発熱の初期対応そのものなのです。
体にこもった熱を自然と受け流す仕組みに【発汗】という仕組みがあります。
汗は、もともと身体の熱を取り去り、体温の調節する最も優れた自然の治療技術です。
発熱時の初期対応には【発汗】という仕組みを十分に利用し最も効率よく身体の余分な熱を逃して風邪をこじらせる原因を除去します。

結論として、発熱をした時の初期対応は、

汗で炎症物質や発熱物質の逃げ場を確保をしておく事

がとても大切だという事です。

この【発汗】という治療技術についてもう少し詳しく見ていきましょう

3)”発汗解表”という治療技術を応用した最も一般的な漢方薬=葛根湯

【発汗】という治療技術を専門用語では、『発汗解表』といいます。
『発汗解表』とは、

【発汗という仕組みを利用して、表層を邪気から解く(=拘束された状態をほどく)】

という意味です。
この仕組みをより高めてしてくれる生薬が、麻黄(まおう)+桂枝(けいし)です。
皆さんもご存じの「葛根湯」という漢方薬にこの生薬の組み合わせが含まれています。
つまり『葛根湯』の治療目的は『発汗解表』ということになります。

「葛根湯」を服用するとほどよく汗をかきます。
もちろん自然の生薬なので、身体の水分の量に合わせて程よく調節はしてくれます。
ただ、この2種類の生薬を使うとその作用が強すぎて、身体からの発汗量が多くなり逆に弱ってしまう人もいます。
そういう人は「桂枝(けいし)」だけを使った「桂枝湯(けいしとう)」を使います。

また、インフルエンザのような強いウイルスに感染した場合は急激な発汗が必要となります。
そのウイルスの感染力が強いほど、一気に高熱になるので早急な対応が必要となります。
のんびりしていると一気に身体中にウイルスがまわってしまいこじらせてしまうためです。
そういう時は「麻黄(まおう)+桂枝(けいし)」の含んだ切れ味のよい「麻黄湯(まおうとう)」を使います。
また、発汗を促す目的なので熱いお湯で服するととても効果的な服用方法になります。

このように【発汗】という治療技術だけでもかなり応用して漢方治療を行います。

さらに当店では、『発汗解表』という技術を
ニュースキャンのような波動調整の技術や鍼灸治療へ応用することで治療効果を高めています。
どうやって応用しているかは専門的なお話になるのでご興味ある方は施術時などにお聞きください。

これらを応用することで下記のような治療が可能になります。

【解熱の症例】自然治癒力を引き出す技術と解熱剤のデメリット
https://yomogi-sk.jp/kenkosoudanshitsu/20240203/

4)昔からご家庭でも扱われていた”発汗解表”という技術

専門的で難しい話になってしまいましたが、【発汗】という技術は何も特別なものではありません。

例えば、昔のおばあちゃん宅では風邪を引いたらやかんに水を沸かして湿度を上げませんでしたか。
これは湿度の上昇により皮膚から気加熱の量を増やす目的で上手に汗をかかせるために行います。

例えば、梅干しを番茶に入れて熱いうちに飲むことを聞いたことありませんか。
これは塩分やミネラル分を大量に熱い飲み物と一緒に摂取して発汗を促す目的で行います。

例えば、風邪薬を飲むときは煎じた薬を熱いうちに飲むという教えもあります。
これは熱いうちに服用することで、発汗量が増えるため治療効果を高める行為です。

このような昔ながらの行為は、どの家庭でも行われていましたが、これは全て『発汗解表』の技術そのものです。

同じように、風邪をひいたと思ったら、
・麻の植物の茎を切り取って乾燥させた生薬(=麻黄(まおう))

・桂(かつら)の木の皮をはいで乾燥させた生薬(=桂枝(けいし))
を煎じて服用すると【発汗】が増して、風邪の治癒が早くなる
という技術も経験的にどの家庭にも染み付いておりました。

どの家庭にも昔から言い伝えられていることがあって、それを専門用語で表現しただけの内容です。

でも、
この特別ではないことが発熱時の初期対応はとても重要であり、これを間違えると大きな病気へと繋がっていきます。

5)「東洋思想」という哲学を社会に活かす

東洋医学という言葉は明治時代に言われた造語でしかありません。
本来は『東洋思想』という一種の哲学を僕らは『東洋医学』と呼んでいます。
もともと哲学であって医療だけでなく、農業、教育、政治、経済などへ応用されてきました。
事実、今回ご紹介した発熱時の初期対応という医療技術は、
教育におけるイジメの初期対応と全く同じ考え方と全く同じで、
『東洋思想』という一種の哲学を教育と医療に応用したケースです。

僕ら鍼灸師や漢方治療家はこの『東洋思想』を医学として学んだ身です。
この『東洋思想』を社会にどう生かし、どう応用していけるか、
ひとつずつ考えながら。これからも皆さんと情報共有していこうと思います。