安胎薬とは安全に胎児の出産をするために万全の体制を整えるための薬のことです。

白朮散(びゃくじゅつさん)という漢方薬をご存知でしょうか。

おそらく公的な病院の不妊治療だけを受けている方はご存知ないかと思います。

この白朮散は体を温める作用がとても強いので婦人病の妙薬として古代の書物(金匱要略(きんきようりゃく))に記載されています。

今日は白朮散という安胎薬についてのお話です。

・流産の経験があるので、習慣性流産の防止をしたい
・高齢出産だけど、流産を防止して安全な出産をしたい
・昔から冷え性に悩んでいるが、無事に出産をしたい

など、流産を含めた出産時のトラブルを回避したいと考えている方は是非最後までご覧ください。

~目次~
①流産を起こす人に共通する特徴:体温が低い
②産婦人科でよく処方される当帰芍薬散の単独服用では流産の予防効果は見られない
③流産の経験がある人におすすめの漢方薬:白朮散(びゃくじゅつさん)
④白朮散は冷え性や自律神経系の病にも最適
⑤明確な使い分けが漢方薬の効果を最大限引き出すカギ

①流産を起こす人に共通する特徴:体温が低い

 

流産を起こす原因はたくさんあります。

その原因を追求するとキリがありませんが、特徴を挙げるなら体温が低いことに尽きます。

特に筋力低下による体温低下が問題ですが、その筋力低下の原因も追求するとキリがありません。

病気の原因を追求し、その原因を取り除く治療を原因除去療法と言いますが、

原因除去療法は正しい食事と適切な運動に尽きます。

しかし、それは個々の生活リズムを考慮しなくてはいけないので当店では個別で対応してます。

原因除去は大前提ですが、完全に除去するまでの期間に体温維持のサポートとして漢方薬は重要なアイテムです。

そんな時におすすめの漢方薬が白朮散(びゃくじゅつさん)です。

白朮散(びゃくじゅつさん)は不妊治療時や妊娠初期から産後に至るまで継続的に服用できる漢方薬です。

効果としては、継続的な服用で体の内部から温めて流産を予防し安全な出産を迎え、体が温まり安い体質へ導いてくれます。

 

②産婦人科でよく処方される当帰芍薬散の単独服用では流産の予防効果は見られない

 

不妊治療で当店に来院される患者さんの多くは当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)という漢方薬を飲んでいます。

服用目的は体を温めて流産などのトラブルを未然に防ぐ、と口を揃えておっしゃいます。

ですが、これを飲んでいても流産を起こす人が多数おり予防効果はほぼない、と自分の経験では感じています。

『何と言っても本方のゆくところは腹痛にあり。猛烈に痛む者あり。・・・便通は普通または下痢の者・・・』

上記は、新古方薬嚢(著書 荒木性次)に書かれている当帰芍薬散の条文です。

ここから読み取れる事は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は治療の目的は『腹痛』です。

この腹痛は、流産とは関係なく、月経痛のことを意味している、と自分では捉えています。

また、後世方に紫蘇和気飲(さいそわきいん)という漢方薬があります。

紫蘇和気飲=当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)+香蘇散(こうそさん)

柴蘇和気飲は流産防止に有効性が高い、という文献は多数あるが、

当帰芍薬散の単独服用で流産防止に効果的という文献はあまり多くないです。

以上のことから、流産の予防に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)単独服用はあまり効果的ではない、という印象です。

 

③流産の経験がある人におすすめの漢方薬:白朮散(びゃくじゅつさん)

 

『妊娠中に腹中冷えやすく・・・白帯下など下りる者、流産癖がある者』

上記の内容は新古方薬嚢(著書 荒木性次)に書かれている白朮散を使う人の文面です。

”白帯下など下りる者”とは、切迫流産のような急な破水を起こした人のことを意味しています。

通常の分娩以外の時に赤ちゃんや授精卵が子宮口に降りてこないようにするために考えられた薬が白朮散です。

40代の女性がやっとも思いで授かった身籠ったお腹をぶつけて破水してしまったが、

白朮散の使用で1ヶ月以上お腹の中で持ち堪えた経験をお聞きした時は驚きました。

 

④白朮散は冷え性や自律神経系の病にも最適

 

・白朮散  :白朮、川芎+山椒(さんしょう)、牡蠣(ぼれい)
・当帰芍薬散:白朮、川芎+当帰、芍薬、沢瀉

白朮散と当帰芍薬散の決定的な違いは、山椒(さんしょう)、牡蠣(ぼれい)という生薬です。

山椒(さんしょう)は土用の丑の日に食べる鰻の薬味です。

ご存知の人も多いですが山椒は辛味が特徴で、体を温めて血流を改善する効果があります。

牡蠣(ぼれい)は貝殻の牡蠣を粉砕した生薬です。

牡蠣(ぼれい)の効能は、腎臓や子宮をよく温め、心を落ち着けてくれる作用があります。

不安がいっぱいの妊娠中の女性には最適な生薬が牡蠣(ぼれい)です。

これら生薬の特徴を応用すると、老若男女問わず

体が冷えている方
自律神経の乱れによる不安な方

に対して、有効性の高い漢方薬と言えます。

⑤明確な使い分けが漢方薬の効果を最大限引き出すカギ

 

公的保険の中だけで不妊治療を進めていくと使える治療が限定されます。

流産を予防するために考えられた安胎児薬の白朮散は保険診療内では処方できません。

だからと言って、それを当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)で代用して、流産の予防には程遠い使い方になります。

漢方とはもともと全てがオーダーメイドに作られるもので、明確な使い分けが必要な薬になります。

明確に使い分けを行うことで漢方薬の効果を最大限に引き出すことできます。

効果を最大限引き出せるようどんな漢方薬を購入したら良いか、のサポートを当店では行なっています。

もしご興味あれば一度ご相談してみてください。