「花粉症の薬が手放せない」
「アトピー性皮膚炎でステロイドを使っている」
「生理痛にはピルやロキソニンが必須」
など、日常的に薬に頼っている方は少なくありません。
また、高血圧や糖尿病などの慢性的な病気になると、気づけば飲む薬の数が増えていたという話もよく聞きます。
「このまま薬が増え続けるのは嫌だ」
「でも、どうすれば薬を減らせるんだろう?」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
薬を減らすには、ただやみくもにやめるのではなく、正しい順番で、ゆっくりと進めることが大切です。
正しい順番とは、例えるなら「薬漬け」という山を登ってきた道のりを、今度はゆっくりと降りていくこと。
そのためには、まず自分がどうやってこの山を登ってきたのか、その道のりを知る必要があります。
この記事では、「薬漬けの正体」と題して、なぜ私たちは薬に頼るようになるのか、その根本的な原因と、薬を減らすためのヒントについてお話しします。
まだ前回の記事を読んでいない方は是非一度ご覧になってから今回の記事を読むと理解が深まるかと思います。
・「「漢方薬は長く飲まないと効かない」その思い込み、本当ですか?〜薬漬けの基本〜」
→説明: 漢方薬の即効性や、薬に頼るようになる根本的な理由を東洋医学の視点から解説します。
https://yomogi-sk.jp/kenkosoudanshitsu/datsukusuridukenokihon20250625/
・「食への柔軟性が、薬に頼らない私を育む。〜薬漬けの根源〜」
→説明: 現代の食生活が体に与える影響と、「一物全体食」という古来の知恵について、さらに深く掘り下げてお伝えします。
https://yomogi-sk.jp/yomogishinkyuin/kusurinokongen/
〜〜〜記事〜〜〜
1. 薬が増える本当の理由。その根源は「削ぎ落とす」食にあった
2. 傾いた「シーソー」、それが体の不調のサイン
3. ごまかせない体のSOS。薬の連鎖が止まらない理由
4. まとめ)薬を減らす「一物全体食」という日本の知恵

1、薬が増える本当の理由。その根源は「削ぎ落とす」食にあった
前回の記事で、私たちは「漢方薬は即効性がない」という思い込みを覆し、実は漢方薬も余分な物を「削ぎ落とす」ほどに効果が高まり、即効性が増すというお話をさせていただきました。この「削ぎ落とす」という考え方は、不純物を除去し、必要な成分だけを抽出する西洋薬にも通じるものです。
一方で、私たちの食生活も、この「抽出・加工」という考え方が主流になっています。
日本の伝統的な食文化である「一物全体食(いちもつぜんたいしょく)」から離れ、特定の成分だけを抽出した加工食品が増え続けています。
例えば、小麦粉のような粉物、オリーブ油やサラダ油のような植物油、サトウキビなから抽出した砂糖類・・・・etc
つまり、私たちの体は、効果を最大限に高めるために「抽出・加工」された薬と、日々の食生活で当たり前のように口にする「抽出・加工」された食品の両方から大きな影響を受けているのです。
では、この「抽出・加工」された食品と薬が、いったいどのようにして私たちの体を「薬漬け」の状態へと導いていくのでしょうか?そのメカニズムを一緒に見ていきましょう。
2、傾いた「シーソー」、それが体の不調のサイン
私たちの体には、常に健康な状態を保とうとする「元の状態に戻る力」が備わっています。
これを専門用語で”生体恒常性”と言います。
この体のバランスを、シーソーに例えてみましょう。
シーソーの一方の端には、体に負担をかける「抽出加工品」の重さが乗り、もう一方の端には、それを元に戻そうとする「自律神経やホルモン」の力が乗っています。
普段、少量であれば、自律神経やホルモンが働いてバランスを保つことができます。
しかし、毎日のように大量の抽出加工品を摂取し続けると、シーソーは「抽出加工品」側に大きく傾き、「元の状態に戻る力」だけではバランスを保てなくなってしまいます。
このバランスが崩れた状態が、「自律神経失調症」や「ホルモン分泌障害」といった病気として現れるのです。

3、ごまかせない体のSOS。薬の連鎖が止まらない理由
バランスを崩したシーソーを元に戻すために、私たちは「薬やサプリメント」という重しを乗せて、シーソーを水平に戻そうとします。
一時的にはこれでバランスが取れるかもしれません。
しかし、食生活が変わらない限り、抽出加工品の重さは増え続け、やがて一つの薬だけではバランスが保てなくなります。
そして、その都度新しい薬やサプリメントが増えていき、気づけば私たちの体は、たくさんのシーソーが乱立し、複数の薬でかろうじてバランスを保っているような状態になってしまいます。
これを三次元で上から見てみましょう。
そこには、頭痛、アレルギー、生理痛、血糖値など、それぞれの問題に対応する無数のシーソーがあり、それらを一つずつ薬でバランスを取ろうとしている様子が見えてくるはずです。
これこそが「薬漬け」の正体なのです。

4、まとめ)薬を減らす「一物全体食」という日本の知恵
さて、今日のお話を通して「薬漬け」という山を登ってきてしまった道のり、その正体が見えてきたのではないでしょうか。
私たちが普段何気なく口にしている抽出加工品。
便利さや美味しさを追求するあまり削ぎ落とされた抽出加工品ばかり食べ、本来あるべき「一物全体食」という自然の恵みをいただく食文化から、私たちはいつの間にか離れてしまっていました。
その結果、私たちの身体には少しずつ負荷がかかり、知らず知らずのうちに薬を使わなければならない身体になってしまっていたのです。
つまり、この山を降りていく道は、決して険しいものではありません。
その第一歩は、あなたが今から口にする「全ての食品」を、抽出加工品を除いていくという、とてもシンプルで簡単な選択です。
”加工品はできるだけ口にしないで生鮮食品を取り扱う”
つまり、
・粉ものを摂らないようにして主食はお米、できれば玄米や雑穀米を摂るようにする
・調味料を使いすぎないで、なるべく自然の甘さや出汁などで自然の味覚を楽しむ
・油で揚げる料理ではなく、蒸し料理を増やして余分な油を取り込まない
・冷凍食品や出来合の弁当や加工品は摂らない
・ジュースや栄養ドリンクなどではなく日本古来のお茶を楽しむ
という日本人が昔からやっている極々普通の食事に戻してあげること。
そんな小さな意識の変化から、あなたの身体は本来の調子を取り戻していきます。
そしてそれは、あなた自身の健康だけでなく、次世代を担う子どもたちの未来にもつながる、大切な選択です。
薬漬けの人生に終止符を打ち、身体が持つ本来の力を取り戻す旅を、今日から始めてみませんか。


