普段はあまり症例は書きませんが・・・・。
今回は患者様の承諾を得まして、症例をご紹介させていただきます。
とても勉強熱心な患者様でこちらも治療がしやすく助かりました。

どんな人でも自分の体は自分で治す力を持っています。
僕ら治療家にとって大切お仕事は、
(×)病気を治すこと
(◯)治す力を存分に発揮させてあげること
です。

良い結果に繋がったのは本人の成長あってのこと。
元気になれて何よりです。

【40才代・男性】

・主訴:首のリンパ節の炎症・腫脹、下痢、腰痛
→右首の大きく腫れ・熱感が強くあり(触診にて確認)
→便:3回/日、全て下痢

・周辺症状:食欲不振、不眠(入眠障害)、ほてり、倦怠感
→不眠は特に酷く、薬を飲んでも布団に入って3時間は眠れない

【病歴】
2003年、歯の神経壊死のため神経を抜く治療を行なった。
→この時から、疲労、倦怠感が増えて、右首のリンパ節付近が常時腫れている状態へ。
2006年、首のリンパ節の腫れは扁桃腺が原因と診断で大病院で摘出手術を行う
→結局、首の腫れは引かなかった.以降、疲労感、倦怠感、首の炎症に悩まされる生活
2015年頃から入眠困難になり眠剤の服用開始
2016年、多汗症と赤面症のため第2肋間神経の切断の手術を行なった
→この時からほてりが増し、下痢を毎日するようになった。
2022年、3回目コロナワクチンを接種後、感情コントロールできなくなり、熟睡できなくなった
→メンタルクリニックへ行き相談したとろ、数種類の精神薬を服用したが副作用で飲めなかった
2023年7月、当店へ来院

【治療方針】
首の腫脹部分に熱感があり、腫れていて、右側のみ明らかに太くなっていた。
顎関節の動きが悪く、顎関節由来の自律神経障害と考察。

腰椎と内臓治療で下痢が消失する、
顎関節の調整と内臓治療で入眠困難・不眠と首の炎症が消失する、
と見立てて治療方針を選定。

【治療経過】
・メイン治療:鍼灸
・治療の補助:乳酸菌サプリメント、ミネラル塩、ニュースキャンセラピー
・原因除去療法:食事と生活習慣の改善ポイントを説明

・2023.7.12 ニュースキャン全身スキャン・全身セラピー(初回確認)
身体中が炎症を起こしやすい食生活であることを説明。
原因は食事による内臓ストレス及び職業柄、腰への負担が大きかったことと推測。
原因を除去するための生活習慣をアドバイスし、
次回から鍼灸治療とサプリメント治療の治療方針を説明

・2023.7.20 1回目
身体所見:肩甲骨間の強い緊張、右腰部に硬結あり
施術:上半身に熱がこもり下半身が冷えていた為、全身の流れを良くする施術を行なった

・2023.7.27 2回目
前回の鍼灸施術後、腰痛がなくなった。
下痢がひどくなった為サプリメントを夜のみにしている
→好転反応と考察

・2023.8.4 3回目
前回から体調に変化はない

・2023.8.7 4回目
以前は入眠に数時間かかっていたが、最近は1時間ほどで入眠できている(眠剤は服用している)
ただし眠りは浅い
右顎の違和感がなくなっている
右首の腫れは消失

・2023.8.16 5回目
便通は2〜3回/1日(下痢)あるが、最初の排便は普通便になってきた。
右顎の違和感は完全になくなった。
今は下痢を改善したい

・2023.8.19 ニュースキャン全身スキャン・全身セラピー(中間確認)
首の腫れ・熱感が完全に消失(触診にて確認)
顎関節の異常消失、上半身の火照りはまだあり
下痢の頻度は軽減、朝方の腰痛は消失

・2023.8.29 6回目
今回からニュースキャンセラピーと鍼灸を同時に行う
最初は普通便で2・3回目は下痢

・2023.9.6 7回目
便通は変わりない。
気持ちの面、不安感は減ってきていると話していました。

・2023.9.13 8回目
前回施術後から2日間下痢をしなかった。
3日目からは以前と同じ状態に戻ってしまった。

・2023.9.21 9回目
9/13~17まで下痢なく過ごせた。
お腹を冷やさないように心がけるようになった。

・2023.9.29 10回目
やや軟便気味ではあるが、以前のような下痢はなくなった。

・2023.10.5 11回目
以前は感じなかったが、夕方以降に眠気を感じるようになり、改善している実感が出た。
施術開始時の腰痛・顎の違和感・便通は改善しており、今回を持って施術を終了とした。

・2023.8.19 ニュースキャン全身スキャン・全身セラピー(最終確認)

・喉の腫れ、熱感が完全に消失(触診にて確認)
・顎関節の異常は消失
・上半身の火照りは消失
・下痢の消失→全て普通弁、未消化便は消失
・腰痛は消失
・入眠障害:3時間以上入眠困難→1時間以内入眠
(眠剤は不安でまだ断薬できていない)

【考察】
・初見の見立て1)腰椎と内臓の治療で下痢が消失する。
→内臓治療は、食事指導とニュースキャンの波動調整と乳酸菌製剤の腸内細菌を安定化へ。
腰椎の治療は鍼灸治療で行い骨盤付近の筋肉全体を緩めて内臓の動きを調節。
結果的に、下痢は完全に消失しました。

・初見の見立て2)顎関節の調整と内臓治療で不眠と首の炎症が消失する。
→腸内細菌が安定してきたことで日内リズムが整い自律神経を安定化へ。
また、全身の筋緊張と特に顎関節近辺の筋肉緊張を和らげると、
視床下部が物理的に安定してホルモンバランスが整い睡眠の質が向上。
首付近のストレスが消えて結果的に首の腫れは消失しました。

【原因除去の大切さ】

どんな治療も過信してはいけない。
これは当鍼灸治療院も常に考えています。
治療がうまく行った裏にはたくさんの失敗も隠れています。
今回うまく治療が進んだのは患者さんの熱意があってのことです。
まずはその熱意に深く感謝しないといけません。
お金もかかる中、貴重な経験させ頂き深く感謝を申し上げます。

20年近く症状が続いてしまった原因は、2003年に行なった歯科診療時に
”原因の考察”と”原因の除去”を怠ったと考察しています。

神経除去という治療は、苦痛を取り除きQOLの向上にはとても大切な治療です。
ですので、現代医療がまちがえているわけではない、と深くご理解ください。

ただ長い人生が残っている患者さんにとって、
対症治療だけを行うと再燃再発をしてしまいます、
ですのでここで治療を終えずに”原因除去”を行う事が大切、と当店では考えてます。。

具体的には、
・どうして神経が壊死に至ったのか、生活習慣をベースに一緒に考えること
・どういう生活習慣をすれば今後の予防につながるのか、を一緒に考えること
ということです。

これを一緒に考えていくには、分子栄養学や東洋医学の視点が必要になります。
現代医療が得意とする解剖学、生理学、薬理学以外の視野が必要です。

感染症を含めてどんな病気の原因も、その人の生活習慣に隠れています。
その原因を患者さんに寄り添って一緒に考えていくこと、
そしての原因の除去を二人三脚で行なっていくこと、
が治療には一番大切であると当院では、考えております。