「急に腰が痛くなって、歩くのもつらい」

今回ご紹介するのは、来院4日前にぎっくり腰を発症し、
「歩くのもやっと」という状態で来院された50代女性の症例です。

来院時は前かがみ気味で、腰を十分に伸ばすことができませんでした。

来院時に特につらかった動き

  • 前屈した状態から身体を起こすと痛む
  • 左へ身体をひねると、右腰が引っ張られるように痛む

今回、施術を考えるうえで私が気になったのは、
痛みのある「腰」だけではありませんでした。

「上半身は熱いのに、
お腹や足元は冷たい」


ホットフラッシュがあるのに、身体は冷えている?

この方にはホットフラッシュがあり、上半身には「のぼせ」がありました。

ところが、足先は冷たく、お腹を確認すると胃から腸にかけても冷えが感じられました。

さらにお話を伺うと、その年の夏は冷たいものを口にすることが多く、
扇風機の風にもよく当たっていたとのこと。

💡 ここでの思考


「今回の腰痛には、腰そのものだけでなく
“冷え”も関係しているのではないか?」

なぜ、ぎっくり腰で「冷え」を診たてのか?

寒い日に外へ出ると、自然と肩をすくめたり、
身体に力が入ったりしますよね。

身体は冷えると、筋肉が緊張して動きにくくなることがあります。

東洋医学でも「冷え」は、痛みを考えるうえで大切な手がかりのひとつです。

今回の方は、
上半身には熱感があるのに、お腹や足元は冷えている状態でした。

東洋医学では、このような状態を
「上熱下寒(じょうねつげかん)」
という視点から考えることがあります。


「暑いから、冷えていない」とは限らない。

今回は、この身体の偏りが施術を考える大きなヒントになりました。


鍼とお灸で、身体の変化を確認

まず、臀部・太ももの裏・背部などへ鍼を行い、
その都度身体を動かしてもらいました。

すると、最初にあった
「身体をひねったときの腰の痛み」は大きく軽減。

ただし、
「前屈した状態から身体を起こすときの痛み」
はまだ残っていました。

そこで手足への鍼に加えて、
仙骨から腰周辺を棒灸でじっくり温めました。

施術後の変化

施術後にもう一度身体を動かしていただくと、
残っていた痛みも軽減しました。

歩行・前屈・身体をひねる動作ともにスムーズになり、
日常生活にほぼ支障のない状態になったため、
今回は1回の施術で終了しました。

「腰が痛いから、腰だけ」とは考えない

今回の症例でお伝えしたいのは、
「ぎっくり腰=冷えが原因」
ということではありません。

ぎっくり腰の状態や背景は、一人ひとり違います。

ただ今回の場合、

  • お腹や足先の冷え
  • 上半身のほてり
  • 夏の冷たい飲食
  • 扇風機による冷え
  • 実際に身体を動かしたときの痛み方

こうした情報が、施術を考える大切な手がかりになりました。

痛い場所と、身体を見る場所は
同じとは限りません。

「腰が痛いから腰だけを見る」のではなく、
「なぜ今、この人の腰に痛みが出たのだろう?」
と身体全体をみる。

それが、当院が鍼灸施術で大切にしている考え方です。

急な腰の痛みでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

※施術による変化には個人差があります。本記事は一症例をご紹介したもので、
すべての方に同様の経過を保証するものではありません。