「いつの間にか、薬が手放せなくなっている…」
「もしかして、このまま薬漬けになってしまうのかな…」
気づけば薬が手放せなくなっている自分に、ハッとすることはありませんか。
もしかしたら、人生のどこかのタイミングで、私たちは誰もが「薬漬け」と呼ばれる状態に陥る可能性を秘めているのかもしれません。
そう考えると、ふと胸がざわつくような、漠然とした不安を感じることはないでしょうか。
「遺伝だから仕方ないよ」
「家族みんながそうだから」
と、まるで宿命であるかのように、薬を飲むことを勧められる場面もあるかもしれません。
そんな時、「本当にそうなんだろうか?」と、心の中で問いかけてみたことはありませんか。
薬を勧める側が悪いわけでも、飲む側が悪いわけでもない。
どちらにも明確な「善悪」がないように感じるのは、私だけでしょうか。
もし遺伝や家族性が原因なら、なぜ生まれた瞬間から薬に頼る生活が始まらないのでしょうか。
「年を取って体力が落ちれば、誰でも発症するものだ」という声も聞きます。
でも、考えてみてください。
✅10代、20代の若い世代がすでにピルや鎮痛剤を日常的に使っている人
✅30代、40代の働き盛りの世代が抗うつ剤や睡眠薬なしではいられなかったりする人
彼らは決して体力が衰えているわけではありません。
むしろ若くても、たくさんの人が薬に依存している現状があるのです。
この矛盾に、私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。
実は、これらの問いの答えは、私たちが過去から学び、未来へと繋ぐべき「歴史」の中に隠されている事は前回の記事の「薬漬けの基本」でお話しました。
↓前回の記事(「漢方薬は長く飲まないと効かない」その思い込み、本当ですか?〜脱薬漬けの基本〜)
https://yomogi-sk.jp/kenkosoudanshitsu/datsukusuridukenokihon20250625/
そこで今日は、私たちが忘れかけている日本の食文化(=食の歴史)の知恵の一つである
”一物全体食(いちもつぜんたいしょく)”
という考え方を、皆さんと一緒にじっくりと読み解いていきたいと思います。
この伝統的な食の哲学の中にこそ、薬に頼りきりの生活から抜け出し、本来の健やかな体を取り戻すためのヒントが隠されていると信じています。
この文章が、
・「薬漬けから抜け出したい」と悩んでいる方。
・「将来、薬漬けになるのでは」という不安を抱えている方。
・薬漬けの副作用に苦しんでいる方。
・大切な人を薬漬けから守りたいと願う方
に希望の光を灯すきっかけとなることを心から願っています。
ぜひ、最後までお付き合いください。
〜〜〜〜〜目次〜〜〜〜〜
1、「一物全体食」って、どんな考え方?
2、「そぎ落とす」行為が、体への負担を高める?
3、「一物全体食」に隠されたメッセージ
4、現代の食生活に潜む「削ぎ落とされた食品」
5、まとめ)変化に対応できる柔軟性が、薬漬けから抜け出す土台
1、「一物全体食」って、どんな考え方?
Googleなどの検索エンジンやチャットGPTなどのAIで調べると、
日本の食文化の知恵である「養生」の一つ『一物全体食』はどのように表示されるかご存知でしょうか。
一物全体食とは、
✅食材を可能な限り自然のまま、丸ごといただく
という、健康と自然の調和を意識した食の哲学として表示されます
この考え方には、こんな大切な意味が込められています。
・自然のバランスを尊重:一つの食材には、皮・実・種など全てに意味があり、自然が作り出した完璧なバランスがあります。
・栄養を丸ごと摂る:皮や根、葉の部分にも豊富な栄養が含まれており、無駄なく体のために活かせます。
・感謝の気持ち::命を大切にし、全てをいただくという精神性も含まれています。
これは一般的に、心と体を整える生活の知恵として語られてきました。
便宜上、これを『養生から考える一物全体食』と呼びましょう。
しかし今回は、この一般的な角度からではなく、
別の視点から「一物全体食」を深く掘り下げてみたいと思います。

2、「そぎ落とす」行為が、体への負担を高める?
『即効性があり効果の高い漢方薬は、その漢方薬を構成する生薬の数が少ない』
https://yomogi-sk.jp/kenkosoudanshitsu/datsukusuridukenokihon20250625/
↑前回の記事(「漢方薬は長く飲まないと効かない」その思い込み、本当ですか?〜脱薬漬けの基本〜)
前回のブログでもお伝えしましたが、漢方薬は構成する生薬の数が少ないほど、即効性が高く、短時間で効果を示します。
しかし、この「効率性」を追求するあまり、構成要素を「そぎ落とす」ことには、デメリットも存在します。
その欠点というのが、
✅生薬の数をそぎ落とせば削ぎ落とすほど、人体への負担が大きくなる可能性がある
ということです。
前回のブログでご案内した構成生薬の比較的少ない漢方薬は、傷寒論という古代の医学書に記載されています。
この傷寒論に記載されている漢方薬は、もともと急性疾患への使用を想定して構成されているため、長期的な服用を前提としていません。
そのため自然由来の生薬であっても、その使い方によっては体への負担が大きくなることもあるのです。
https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0052.html
実際に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)にて『過去の副作用救済給付の決定に関する情報(各月別)』のページで毎年アップロードされている副作用報告症例にも漢方薬は数種類上がっておりますが、この報告例では構成生薬が少ない漢方薬の報告が多いという事実があります。
これは、漢方薬に効率性を求めるあまり、本来の目的とは異なる使い方をして、体への負担が増え副作用を起こしているケースです。
漢方薬は、その特性をよく理解し、ご自身の体質や状態に合わせた適切な使い方をすることが大切です。
漢方薬の専門家のアドバイスを受けながら、慎重に選ぶことが、健やかな体への近道と言えるでしょう。
この「そぎ落とす」という行為がもたらす影響は、漢方薬に限った話ではありません。
この事実を踏まえて、「一物全体食」の考え方を、もう一度丁寧に読み解いてみましょう。

3、「一物全体食」に隠されたメッセージ
『養生から考える一物全体食』は、「良い食べ方」を教えてくれる哲学です。
しかし、薬の専門家の視点から見ると、そこにはもう一つの大切なメッセージが隠されているように感じます。
それは、
✅人体への負担が大きく危険だから、削ぎ落とされた食品を毎日口にするな
という、過去からの警告です。
これを私は便宜上、『人体の負荷から考える一物全体食』と呼んでいます。
例えば、甘くて美味しいリンゴ。
りんごの皮をむかずに丸ごと食べると、栄養バランスが良くなりますよ、という考え方が『養生から考える一物全体食』です。
ただ皮をむいて食べる程度であれば、『人体の負荷から考える一物全体食』ではさほど問題ではないでしょう。
しかし、これをジューサーで絞り、食物繊維を全て「そぎ落とされた」ジュースにして毎日に飲んだらどうでしょう?
食物繊維は完全に失われているので急激な血糖値の上昇など、体への負荷が大きくなることが考えられます。
このように、食材から特定の成分を「抽出する」=「削ぎ落とす」という行為は、体への負担を大きくする可能性があるのです。
まとめると、
✅『養生から考える一物全体食』:食材の持つ自然なバランスを大切にする「食べ方の基本」を伝えています。
✅『人体の負荷から考える一物全体食』:食材を加工・抽出することで、体への負担が増す可能性があることを警告しています。
では、私たちの身の回りには、どんな「削ぎ落とされた食品」があるのでしょうか?

4)現代の食生活に潜む「削ぎ落とされた食品」
『養生から考える一物全体食』では、
・野菜は根っこから葉っぱまで、魚は頭から尾っぽまで、米なら玄米、小麦なら全粒粉
といったように、自然なまま丸ごといただくことを推奨します。
しかし、『人体の負荷から考える一物全体食』の視点では、話が全く異なります。
結論から言うと、
・食材の原型をとどめていない食品
のことを『人体の負荷から考える一物全体食』が指すと考えられます。
例えば、小麦粉や米粉、片栗粉のような「粉もの」を想像してみてください。
『人体の負荷から考える一物全体食』の視点では、これらの「粉もの」は体への負荷が大きいと考えられます。
お米やイモの状態で摂れば、咀嚼→長時間の分解→体内へ吸収という過程で消化はゆっくり進みます。
しかし、一度粉にして再形成された食品は、咀嚼→短時間の分解→体内へ吸収という過程なので消化が急激に早くなるため、体への負担が大きくなります。
さらに、現代の食生活に欠かせない「調味料」や「油」も、その多くは食材の原型をとどめていません。
もともと日本人は、油料理を控え、出汁(だし)を活かすなど、加工された調味料や油を大量に使わない工夫をしていました。
これは、加工されたものが体への負担になり得ることを、感覚的に理解していた、日本の食の知恵だったと言えるでしょう。

5、まとめ)変化に対応できる柔軟性が、薬漬けから抜け出す土台
江戸時代から現代へと時代が移り変わる中で、私たちの生活は格段に便利になり、薬もまた、手の届きやすい身近な存在となっていきました。
かつては、ピルも鎮痛剤も、抗うつ剤も、睡眠薬もこんなに簡単に手に入りませんでした。
しかし、現代において、薬がいつでも手に入るこの状況は、果たして本当に「自然」なことなのでしょうか?
この「不自然さ」に気づき、薬漬けの根源にアプローチするためには、私たちはただ薬のことだけを考えるのではなく、
”口にするすべてのもの”
に目を向ける必要があると私は強く感じています。
その答えを導き出すヒントが、日本の大切な食文化、「一物全体食」という考え方の中に酷んでいました。
昔の古き良き日本は、何を口にしても安全で、特に食に気を配る必要がなかった時代でした。
しかし、
✅時代の変化とともに、私たちの身近にある食品が、この「一物全体食」という日本の食文化の原則から外れてきている
というのが現状です。
だからこそ、私たちは今、”口の中に入る全ての物”に対して、これまで以上に意識を向け、工夫していく必要が出てきています。
✅ この時代の変化をいち早く察知し、柔軟に対応して食生活を見直す訓練を始めること。
そこにこそ、薬漬けの根源を理解し、薬に頼りきりの生活から抜け出し、健やかな体を取り戻すための大切なヒントが隠されているのかもしれません・・・・。


