帯状疱疹による強い痛みが続き、夜も十分に眠れない。

今回ご紹介するのは、そのような痛みに悩まれていた60代女性の症例です。

私どもが今回の症例を通してお伝えしたいのは、神経痛に対して、身体を温めるという治療の考え方です。

東洋医学では、痛みのある場所だけでなく、身体が冷えているのか、熱を帯びているのかを見極めることを大切にしています。

帯状疱疹の痛みが続いていた患者さん

ある日曜日の夜、疲労が重なっていた患者さんに突然の激痛が現れました。

夜間救急を受診し、レントゲンやCTなどの検査を受けましたが、その時点では原因が分かりませんでした。

翌日、右腹部に発疹が現れたため皮膚科を受診。帯状疱疹と診断され、抗ウイルス薬と鎮痛薬、胃薬が処方されました。

抗ウイルス薬は服用できたものの、鎮痛薬を飲むと胃痛が強くなるため、継続して服用することが難しい状態でした。

痛みが強く、就寝前に鎮痛薬の坐剤を使用することで、ようやく少し眠れる程度。

日中は痛みを我慢しながら過ごす日が4日ほど続き、私どもへご相談いただきました。

神経痛に対して、私どもが大切にしていること

神経痛の治療で、私どもが大切にしていることがあります。

それは、その痛みが本当に神経に由来するものなのかを見極めることです。

痛みの原因を判断するのは、決して簡単ではありません。

私どもが問診で参考にしていることの一つに、次の質問があります。

「お風呂に入ると、痛みが和らぎますか?」

今回の患者さんも、実際に入浴すると痛みが軽減していました。

温めることで痛みが和らぐという反応は、身体の寒熱を判断するうえで大切な手がかりになります。

もちろん、入浴時の反応だけで神経痛と確定できるわけではありません。

しかし、私どもの臨床では、神経痛と考えられる患者さんに冷えの所見を認めることが多く、身体を温めることで痛みが大きく軽減するケースを経験してきました。

だからこそ、痛みを抑えることだけでなく、身体がどのような状態にあるのかを丁寧に診ることを大切にしています。

冷えをどう見極め、漢方薬を選んだのか

今回の患者さんについても、入浴時の反応に加え、舌の状態や手足に触れたときの感触から、冷えの所見を確認しました。

東洋医学では、同じ痛みであっても、身体の寒熱によって治療の方向性が変わります。

私どもは、今回の痛みに対して、身体を温めることが重要だと判断しました。

そこで、身体を温める働きを持つ生薬を中心とした、シンプルな煎じ薬をご提案しました。

漢方薬というと、いくつもの生薬を複雑に組み合わせる印象があるかもしれません。

しかし、大切なのは生薬の種類を増やすことではなく、身体の状態を見極め、必要な働きを持つ生薬を選ぶことです。

私どもの臨床では、冷えの所見を伴う神経痛に対して、温める生薬が大きな力を発揮する場面を経験しています。

漢方薬を服用してからの経過

患者さんは遠方にお住まいで、継続して通院することが難しい状況でした。

そのため、今回は鍼灸治療を行わず、漢方薬によるサポートを選択しました。

煎じ薬の服用を始めてから、3日以内に、それまで強く続いていた痛みが軽減し始めました。

その後、念のため合計2週間分の漢方薬を服用していただき、今回の治療は終了しました。

今回は、鍼灸治療を併用せず、漢方薬だけで痛みの軽減につながった症例です。

患者さんが早い段階でご相談くださったことも、今回の経過に関係していたのではないかと考えています。

神経の痛みに、温めるという選択肢を

帯状疱疹では、抗ウイルス薬による治療が重要です。一方で、皮膚症状が落ち着いた後も、神経の痛みが続くことがあります。

私どもが大切にしているのは、西洋薬と漢方薬のどちらが優れているかということではありません。

痛みの原因と身体の状態を丁寧に見極め、その方に必要な治療を考えることです。

今回の患者さんでは、入浴によって痛みが和らぐという反応があり、舌診や手足の触診からも冷えの所見が確認できました。

そこで、身体を温める漢方薬をご提案したところ、短期間で痛みの軽減につながりました。

神経痛に対して、温めるという選択肢がある。

この考え方を、神経の痛みに悩まれている方に、ぜひ知っていただきたいと思っています。

私どもでは、東洋医学的な視点から身体の状態を丁寧に確認し、その方に合った漢方薬のご提案や、ご購入・服用後のサポートを行っています。

提携先の漢方薬局と連携しながら、痛みを少しでも早く和らげ、安心して日常生活を送れるよう、お手伝いしていきたいと考えています。